【2025年2月21日 目標金額を増額いたしました】
2024年3月8日の東京地裁・札幌地裁への提訴以来、皆様から多くのご支援をいただき、おかげさまで当初の目標金額の500万円を達成しています。誠にありがとうございました。 これまでに、原告や弁護団員の旅費、訴訟書類の印刷代、通信費、リサーチ費用等、多くの費用がかかっていますが、皆様のご寄付のおかげで訴訟を続けることができています。 まだ裁判は始まったばかりであり、最高裁判所の判断を得るまで時間がかかります。その間、訴訟の経過について、各裁判期日後の報告会やイベントの開催、グッズ作成などを通じて訴訟をアピールしたり、さらなる大規模リサーチを行い、弁護団の主張を立証する必要があり、費用がまだまだかかると思われますので、目標金額を引き上げさせていただきました。 引き続き、ご支援のほどよろしくお願いいたします。
はじめに
みなさんは、パートナーと結婚後の名字について話し合ったこと、自分が将来結婚するときに名字を変えるか相手に変えてもらうかの選択をしなければならないことを考えたことはありますか。
現在の法律は、結婚するカップルに対し、例外なく一方が他方の名字に変更するよう求め、夫婦が同じ名字を名乗ることを強制しています(夫婦同姓制度)。
夫婦同姓制度の下では、カップルの双方がそれまでの名字を維持したまま結婚することはできません。もし結婚を希望するのであれば一方が名字を変えるしかなく、そのままの名字を名乗ることを希望するのであれば法律婚そのものを諦めるしかない過酷な選択を迫られています。

しかし、名字を変えるとさまざまな不利益があります。
① アイデンティティの喪失
名前は、個人の人格と深く結びついていますが、結婚に伴って名前の一部である名字を変更することで以前の名前で呼ばれることが減り、これまでの自分がなくなっていくように感じる人もいます。
② キャリアの断絶
人は社会生活を送る中で、自分の名前に結びついて仕事上のキャリアや社会からの信頼や信用、人間関係を築いていきます。けれども、名字を変えることで、これまで築き上げてきたキャリアや信頼、人間関係が、結婚後の自分から切り離されてしまうこともあります。
③ 通称使用 / 併記の手続きの負担と公的効果の不十分さ
名字の変更に伴い、公的機関や金融機関で変更手続きを無数に強いられる負担もあります。その負担は法律で一律のものではなく、所属する機関によって違いがあります。
旧姓の通称使用や併記が認められても、不利益はなくなりません。
公的機関など戸籍上の名字の使用を求められるところも少なくなく、場面により結婚前と後の名字を使わなければならなくなります。
上記のような不利益が存在する中、現在結婚するカップルの約95%は、夫の名字を選択しています。
カップル双方が名前を変えることを望まない場合、話し合いは極めて困難であり、また、「妻は夫の家に入る」という考えが未だ根強い中、特に女性が話し合いの中で感じるプレッシャーは甚大です。
このような不利益が圧倒的に女性に偏っている現状は、女性の活躍が社会でますます進んでいる中で女性にとっての重い足枷となっており、経団連からも女性活躍を推進するための最優先課題として選択的夫婦別姓の導入の検討が要望されています。
結婚後も双方が結婚前の名字を名乗り続けられる選択肢(選択的夫婦別姓)があれば、カップルが結婚後の名前をめぐって葛藤する必要はなくなります。
最高裁大法廷はこれまでに2回、国会で決めるべきことであるなどとして夫婦同姓制度は合憲だと判断していますが、今度こそ選択的夫婦別姓を実現するべく、12名が原告として立ち上がり第3次訴訟を提起することにしました。

▲第3次訴訟、原告と弁護団が東京地裁に入廷する様子
原告が立ち上がった経緯
原告 内山由香里さん
法律婚により25年ほど通称使用を続けてきました。望まない改姓により、自分の存在を公的に証明する運転免許証、健康保険証、パスポート等の姓を変更せざるを得なくなり、さらには銀行口座や保険などまで芋づる式に戸籍姓になっていきました。結局、通称は肝心なところで使えず、むしろ自分が使いたい生来の名前が本当の名前ではないことを日常的に痛感させられ、不快感や喪失感を突き付けられてきました。
私は便宜上、同じ相手との結婚と離婚を3回経験し3回とも改姓していますが、改姓しない側は日常も周りとの関係も1ミリも変わらないので、改姓した側の不利益が想像できない。これが不均衡でなくて何なのでしょうか。
何も変わらないまま30年以上が過ぎてしまいました。子どもたちの世代が同じ理不尽に直面することに我慢ができなくて、勇気を出して声を上げることにしました。
原告 黒川とう子さん・根津充さん
現在の夫と出会い、パートナーとして一緒に暮らしていきたいものの、長年共に生きてきた名前を失いたくなく、またそのような思いを相手にもさせたくなく、事実婚の選択を提案しました。夫は私の考えを聞くうち、仮に男性側が姓を変えることを事実上強制されるような社会であったならと想像し、同氏制に疑問を持つようになりました。夫は姓が同じであることと家族の一体感や仲の良さとは全く関係がないことを実感もしており、ふたりで事実婚を選択しました。
17年近く事実婚を続け、子供も育ててきましたが、共同で住宅ローンを組める金融機関がほとんどない、父親に子供の親権が当然にない、何かあった時に互いが互いの法定相続人になれない、医療機関で手術等の同意ができるかどうかわからないなど、正式な夫婦と認められないことでいざという時にどうなるか分からない不安を常に感じています。
原告 上田めぐみさん
選択的夫婦別姓が話題になり、法改正の機運が高まった1990年代前半、私は中学生でした。「どうして結婚すると女性ばかり姓を変えるのだろう」と共感し、「私も変えたくない」と思い始めました。自分が大人になる頃には法律は変わっているだろう、と信じていたのにもう30年以上が経過。2013年に結婚式を挙げた私も当事者になりました。
2015年、第1次訴訟の最高裁判決の日は、出張先のアフリカで合憲判決のニュースをネットで知り、あまりのショックに半年ほど耳鳴りと目まいが止まりませんでした。
「もう待っていられない、自分が動かなければ」と思い、第2次訴訟では、別姓訴訟を支える会事務局を担当しました。しかし、第2次訴訟でも違憲判断は得られず「今度こそ歴史を変えたい」という思いで立ち上がりました。国内外で自分の姓を選べず困っている、多くの人たちの想いを背負って闘います。

▲(左から)原告の根津充さん、黒川とう子さん、小池幸夫さん、上田めぐみさん、新田久美さん

▲原告の佐藤万奈さん、西 清孝さん
裁判の争点
原告らが求めるもの
⑴ 地位確認:夫婦双方の結婚前の名字を維持したまま結婚し得る地位にあることの確認
⑵ 違法確認:(⑴が認められない場合の予備的請求)国が、法律を改正しないことにより、原告らが夫婦双方の婚姻前の氏を維持したまま婚姻することを認めないことは違法であることの確認
⑶ 国家賠償請求:国が、法律を改正しないことによって、原告らが夫婦双方の結婚前の名字を維持したまま結婚することを認められなかったことにより、原告らに生じた損害の賠償
法的な根拠
1. 憲法違反
別姓という例外を許さない夫婦同姓制度は、憲法13条・憲法24条1項に違反すると同時に、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚した立法を求める憲法24条2項にも違反しています。
名前と結びついている個人のアイデンティティや社会的な認識という利益は、個人の尊厳の基盤を成すものであり、人格的生存に不可欠な利益を保障する憲法13条で保障されています。
また、憲法24条1項は、結婚をすることについての自由かつ平等な意思決定を保障しているといえます。
第24条1項 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
しかし、夫婦同氏制度は、結婚前の名字を名乗り続けることを希望する者に対し、名字を諦めて結婚するか、結婚を諦めて名字を維持するかの二者択一を迫り、憲法で保障される権利を制約しています。
このような権利を制約するためには、結婚に夫婦が別々の名字を名乗るという例外を許さないことに必要性と合理性がなくてはいけませんが、それらも以下のように認められません。
⑴ 結婚の本質との無関係さ
結婚の本質は「両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもつて共同生活を営むこと」にありますが、名字が一緒であってもなくてもこの意思には関係がなく、合理性がありません。
⑵ 旧姓 / 通称使用の不十分さ
近時、改姓の不利益を緩和するために、旧姓を通称として使用できる場面が広がってきています。例えば、2019年11月には住民票・マイナンバーカードの旧姓併記が可能になり、2021年4月には旅券の旧姓併記の要件が緩和されました。
しかし、公的証明書の記載事項について、戸籍上の姓と通称に違いがあるために手続きが煩雑になったり、旧姓併記ができたとしても海外で認められなかったりする場合があります。混乱が生じる度に、結婚に伴って改姓したというプライバシーを開示して説明しなければいけません。
このように、通称使用には様々な限界と弊害があります。通称使用によって改姓の不利益が解消されることはありません。
(3) 社会的状況や意識の変化
男女ともに晩婚化が進み、また女性の社会進出が進む中で、結婚前の名前で築いた実績や信用は大きくなり、名前を維持する必要性が高くなっています。
また、選択的夫婦別姓に対する調査では、若年層の87%が賛成。中でも女性若年層の賛成は91%という結果が出ています。2024年1月には、経団連が選択的夫婦別姓制度の導入を政府に求めるに至っています。
このほかに、最高裁は夫婦同姓制度を合憲とする理由として、家族の呼称を一つに定めることに一定の意義があること、夫婦別姓の場合には子の名字の定めや戸籍の記載方法などについて議論の余地があることなどを挙げていますが、それは夫婦別姓という選択肢を一切認めないことの理由にはなりません。
2. 国際条約違反
⑴女性差別撤廃条約違反
女性差別撤廃委員会は、1994年に一般勧告21を採択し、婚姻前の名字を変更するよう強制することは、女性の「自己の姓を選択する権利」の否定であると明言しています。
⑵自由権規約違反
自由権規約委員会は、1990年に一般的意見19を採択し、「自己の婚姻前の姓の使用を保持する権利又は平等の基礎において新しい姓の選択に参加する権利」の保障を掲げています。
また、2000年には一般的意見28を採択し、これらの権利に関して性別の違いに基づく差別が起きないことを確実にしなければならないとしました。
さらに、女性差別撤廃委員会は2003年と2009年と2016年の3度にわたって、また、自由権規約委員会は2022年に、日本政府に対し、夫婦同姓制度が差別的であるとして是正を求める勧告を行っています。
これまでの経緯
1991年の法制審議会において、夫婦同姓制を含む婚姻制度等の見直し審議が行われ、1996年には「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称するものとする。」との規定を含む民法改正の要綱案が答申されました。
しかし、要綱案は与党の法務部会の了承を得られず、国会提出に至らなかった過去があります。
これまでも最高裁は2度大法廷を開いて審理しましたが、立法府の判断に委ねるとの判断がなされ、要綱案答申から約30年が経過した現在に至ってもなお、選択的夫婦別姓制度の導入はなされていません。
第1次選択的夫婦別姓訴訟
2011年、選択的夫婦別姓の実現を目指して、最初の訴訟を提起しました。
第1次訴訟では、事実婚カップルや法律婚で改姓した女性が原告となり、国家賠償請求訴訟では、民法750条の憲法13条違反、憲法14条1項違反、憲法24条違反、女性差別撤廃条約違反を主張しました。
2015年の最高裁大法廷判決では合憲とされましたが、15名中5名の裁判官(うち3名が女性)が、夫婦同姓の強制は違憲であるとの意見を述べました。

▲最高裁大法廷判決の報告会で
第2次選択的夫婦別姓訴訟
第2次訴訟では、複数の事実婚カップルやニューヨーク州で別姓のまま婚姻した日本人同士のカップルが原告となり、①別姓婚姻届の受理を求める家事審判、②立法不作為に基づく国家賠償請求訴訟、③海外での別姓婚の婚姻関係の公証を受けうる地位の確認請求訴訟を提起しました。
①について、2021年に最高裁によって再び大法廷で審理が行われ、合憲判断がなされたものの、15名中4名の裁判官(うち1名が女性)が違憲意見を述べました。

▲第2次訴訟・広島地裁での弁論期日に
担当弁護士のメッセージ
第1次・第2次訴訟では残念ながら合憲判断となりましたが、合計10名もの最高裁判事が夫婦同姓制度は違憲であると述べ、学界でも違憲との見解が多数説となるなど、得たものも多くありました。
法制度はすべての人が幸せになるために存在するもので、憲法は人権を侵害するような法制度を許容してはいません。
これを最後の訴訟とすべく全力で臨みますので、ご支援の程どうぞ宜しくお願い致します。
弁護団長 寺原真希子
弁護団の紹介


寺原 真希子(弁護士法人東京表参道法律会計事務所)
三浦 徹也 (あさひ法律事務所)
野口 敏彦 (弁護士法人龍馬 あおやま事務所)
井桁 大介 (宮村・井桁法律事務所)
大谷 秀美 (広尾パーク法律事務所)
折井 純 (美竹やさか法律事務所)
亀石 倫子 (法律事務所エクラうめだ)
川尻 恵理子(ハロー法律事務所)
川見 未華 (樫の木総合法律事務所)
橘高 真佐美(大谷&パートナーズ法律事務所)
木村 いずみ(北新居・青木法律事務所)
榊原 富士子(千川通り法律事務所)
塩生 朋子 (四谷共同法律事務所)
芹澤 眞澄 (新宿西口法律事務所)
竹下 博將 (弁護士法人つくし)
棚橋 桂介 (弁護士法人フロンティア法律事務所)
谷口 太規 (弁護士法人東京パブリック法律事務所)
寺林 智栄 (NTS総合弁護士法人 札幌事務所)
永田真衣子 (東京共同法律事務所)
西村夏奈(弁護士法人東京新宿法律事務所)
早坂 由起子(千川通り法律事務所)
久道 瑛未 (早稲田リーガルコモンズ法律事務所)
渕上 陽子 (美竹やさか法律事務所)
松田 亘平 (美竹やさか法律事務所)
溝田 紘子 (東京弁護士会所属)
山崎 新 (アイリス法律事務所)
山田 暁子 (みなみ大通法律事務所)
※弁護団員の自己紹介は、別姓訴訟を支える会のホームページをご覧ください。
https://bessei.net/lawyers/
資金の使途
訴訟費用:印紙代・コピー代などの実費費用
学者に依頼する意見書費用:憲法学者や民法学者、行政法学者等の専門家に意見書を執筆していただくことを予定しています
リサーチ費用:選択的夫婦別姓に関する世論調査や氏に関する海外法制の調査など、多数の文献の取寄せや翻訳作業などを伴うリサーチの実施を予定しています
弁護団、原告などの交通費:係属裁判所の遠方に住む原告や弁護団員が出頭する際の交通費や、専門家の方などに裁判所にお越しいただく際の交通費を寄付金から支出する予定です
イベント開催・広報費用:この裁判に関するイベントや広報費用にも寄付金を用いたいと考えています
弁護士費用等:上記各費用を支出後、もし残高がありましたら、弁護団員の着手金、成功報酬、出張日当、別姓訴訟を支える会のみなさんの人件費等に活用したいと考えています
おわりに
選択的夫婦別姓は、これまで述べてきたように、カップルが同一の名字を名乗る選択肢の他に、カップル双方が結婚前の名字を名乗り続けるという選択肢を設ける、というものです。
同一の名字を名乗りたいカップルは、選択的夫婦別姓の下においても、従前どおり同じ名字とすることができます。
選択的夫婦別姓は、結婚前の名前を名乗り続けたいカップルの希望を実現する一方で、社会に大きな不利益を生じさせません。選択的夫婦別姓が実現すれば、社会全体の幸福が増進するといえるでしょう。
最高裁大法廷は、2015年と2021年の2度にわたって、夫婦同姓を強制する制度は合憲であると判断しました。合憲判断を覆すには高いハードルがありますが、憲法学説の変化や社会の意識の変化などを具体的に立証していけば、必ず違憲判断を獲得できると考えています。
そのためにはみなさまの力強い応援が必要です。
寄付や期日の傍聴、SNSでの拡散など、一人一人のアクションが大きな力になります。
選択的夫婦別姓の実現に向けて尽力してまいりますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。
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